殺戮合宿〜モンスター〜
映画に対して熱意と愛情がある。


そんな孝利と一緒にいると楽しくて、ずっとずっと映画の話をしていたいと思ったこともある。


「嘘つけよ」


孝利はそう言い、下品な笑い声を上げる。


「俺もお前のこと嫌いじゃなかったよ。だからいいだろ?」


その言葉にあたしは青ざめた。


こんなところで、自我を失ったような孝利を相手にするなんて死んでもゴメンだった。


「離してよ!」


手足を動かして抵抗してみても、組み敷かれた状態ではビクともしない。


孝利の飢えた野獣のような顔を見ていると、だんだん悲しみが湧き上がって来た。


「好きだったよ……」


ポツリと呟く。


「あたしは孝利のことが好きだった。だから……こんな風じゃなくて、ちゃんと付き合ってほしかった」


悲しくて涙がボロボロと流れ出した。
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