殺戮合宿〜モンスター〜
この合宿で孝利との距離が縮まればいいな……。


そんなことを、密かに願っていたんだ。


でも、もう無理だった。


こんなことになってしまった関係は、もう修復できない。


さっき暴れた時に右手に触れたソレを、あたしは強く握りしめた。


孝利はそれに気が付かない。


さっきいから絶え間なく涙がこぼれ出すけれど、それは恐怖心からじゃなかった。


こうしてしまうしかない自分に対して、涙が出ていた。


あたしはキツク握りしめたソレを高々と持ち上げた。


異変に気が付いた孝利が振り向こうとする。


その寸前、あたしは孝利の背中にソレを振り下ろしていた。


ドスッと刃物が皮膚に突き刺さる音が聞こえて来る。


あたしはソレから手を離し、そして両手で自分の口を覆った。

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