殺戮合宿〜モンスター〜
孝利はなにが起こったのかわからない様子で、しきりに自分の背中に両手を回して確認している。


きっと、瞬間的に脳内麻酔が分泌されて痛みを感じられなくなっているのだろう。


キョトンとした表情を浮かべたまま、孝利は横倒しに倒れた。


その背中には草刈りに使うカマが突き立てられていた。


あたしは小さく呼吸を繰り返し、孝利の下から這い出てドアを開けた。


「長田、大丈夫か!?」


浅野先生がすぐにあたしに手を差し伸べてくれる。


あたしはその手を取り、どうにか小屋の外へと這い出すことができた。


だけど、足元はフラフラでとても立っていられない。


グラウンドにそのまま座り込んでしまった。


小屋の中を確認した浅野先生はなにも言わずにドアを閉めた。
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