殺戮合宿〜モンスター〜
孝利の頬に触れると、信じられないほど冷たい。


血液を失った人間は蝋人形みたいだ。


「なにしてる」


その声でハッと息を飲んで振り向いた。


そこに立っていたのは浅野先生だ。


「先生……。どうして孝利をここに放置したんですか? 手当てをすれば、助かったかもしれないのに!」


孝利を刺してしまったのはあたしだ。


それでも、聞かずにはいられなかった。


「治療したとしても、菊島はまた同じことを繰り返すかもしれなかった」


浅野先生は孝利の隣に膝をつき、そして手をあわせた。


「それに、治療と言ってもここでできることは限られている。カマを抜けば大量出血を起こしてそのまま死んでいたかもしれない」


浅野先生が言うことは理解できた。


だけど、納得はできなかった。

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