殺戮合宿〜モンスター〜
「孝利をおとりにしたんじゃないんですか?」


そう聞くと、浅野先生は眉間にシワを寄せた。


「自分たちが生きていくためには必要なことだった」


生きていくためには……。


あたしは涙をぬぐい、孝利の遺体を見つめた。


あの映画の通りなら、生き残れるのは主人公ただ1人。


けれどこれは現実世界だ。


主人公が誰かなんて、誰にもわからない。


亮輔や孝利からすれば、自分こそ主人公だったはずだ。


「孝利の体も埋めてあげたいです」


あたしは浅野先生へそう言ったのだった。

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