殺戮合宿〜モンスター〜
不意に脳裏に真っ白な肌の男性が浮かんできた。


その人の体には化け物の噛み傷があちこちについていて、服は血まみれの状態だ。


男性はフラフラとこちらへ近づいてくる。


あたしは後ずさりをして遠ざかろうとするけれど、足がうまく動かなかった。


男性は徐々に徐々に距離を縮めてくる。


あたしの目の前まで来た時、男性が立ち止まった。


濁った目でジッとあたしのことを見つめている。


あたしは全身から汗が噴き出していた。


逃げ出したい。


逃げなきゃいけない。


頭では理解しているのに、体が少しも言う事をきかなかった。


男性が、ふいに笑顔を見せた。


ニタリと笑ったその口から緑色の水がゴポゴポと溢れ出す。


「ひぃっ!!」


悲鳴を上げた瞬間、あたしは我に返っていた。
< 198 / 258 >

この作品をシェア

pagetop