殺戮合宿〜モンスター〜
「池から森へ向かって足跡が続いてる……」


麻由子がそう言った時だった。


バシャッと魚が跳ねるような音が聞こえてきて、あたしたちは池へと視線を移動させた。池の中央付近に波紋ができている。


しかし魚の姿は見えない。


それなのに……波紋が徐々に移動し、こっちへ向かってきているのだ。


それに伴い水音も大きくなっていく。


「なんだよこれ、どうなってる!?」


俊和が叫んだ時、祐里がライトを池へと向けた。


そこに浮かんできたのは、何度も見て来たあの化け物だったのだ。


「こっちに来る!」


麻由子がそう叫び、逃げ出そうとする。


早く逃げないと。


そう思うのに、あたしは池から視線を外す事ができなかった。
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