殺戮合宿〜モンスター〜
「立てよ早く!!」


俊和の焦った声。


あたしは、自分がグラウンドでおとりになったとき、真っ先に俊和が助けに来てくれたことを思い出した。


……助けなきゃ。


そんな思いが湧き上がり、あたしは持っていたバッドをキツク握りしめた。


「何してんの恵里菜!!」


麻由子が気が付いて声をかけて来る。


「麻由子はそこからライトで照らしてて!」


あたしは振り返らずにそう言うと、ライトをポケットにねじ込み、両手でバッドを構える。


祐里は足をひねってしまったようで、今だに立ち上がる事ができずにいる。


「早く逃げて」


あたしは俊和へ向けてそう言い、迫って来る化け物へ向けてバッドを振り下ろした。
< 203 / 258 >

この作品をシェア

pagetop