殺戮合宿〜モンスター〜
今回の事件解決にほぼ貢献していない彼女からの、久しぶりの発言だった。


一瞬反論しそうになったけれど、それをグッと押し込めた。


自分から可能性を潰すような事、するべきじゃない。


「そうだね、そうしてみる」


あたしは祐里の意見を素直に聞き入れて、兄に電話を入れた。


しかし、数コールしても電話は繋がらない。


今忙しいだろうか?


そんなにいつでも電話に出られるワケじゃないよね……。


そう思って諦めようとしたとき、通話状態になった。


『もしもし、どうした?』


ちょっと息を切らしてそう言う兄。


慌てて電話ができる場所まで移動してくれたみたいだ。


「ごめん、今電話大丈夫?」


『あぁ、大丈夫だ』 


その向こうには電車のアナウンスの声が聞こえてきている。
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