殺戮合宿〜モンスター〜
亮輔がそんなに真剣に撮影について考えているなんて、思っていなかったから。


「ご、ごめん」


慌てて謝り、浅野先生へと視線を向ける。


「どうした長田。気になることがあるなら、言ってくれよ?」


「いえ……」


『大丈夫です』と答えようとして、途中で言葉を切った。


あの草木をかき分けるような音を、他の誰かが聞いているかもしれないと思ったからだった。


この合宿所へ来てから昨日でもう3度目だ。


「あの……実は昨日の夜ガサガサっていう物音を聞いたんです」


「物音?」


浅野先生が怪訝そうな表情を浮かべて聞き返して来る。
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