ファイヤークイズ
☆☆☆

その後理恵は足を引きずりながら通路を戻って来た。


理恵が歩いた場所には血がこびりつき、痛々しい。


「理恵、大丈夫?」


すぐに声をかけたけれど、返事はなかった。


衣類の大半は焼け焦げてしまって煙が出ている状態で、理恵は再び拘束されたのだった。


理恵は拘束具に身をゆだねるようにしてぐったりとうなだれてしまった。


今すぐにでも救急搬送が必要な状態だ。


「ちょっと、このままじゃ理恵が死んじゃう!」


あたしはスピーカーへ向けて叫んだ。


少しでも、なんでもいいから応急処置は必要だった。


しかし、スピーカーからの返事はない。


あたしは苛立ちを覚えてスピーカーを睨み付けた。


「澪、あたしは大丈夫だから」


焼けただれたような、しわがれた声で理恵が言った。


見ると、理恵はどうにか顔を上げている状態だった。
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