ファイヤークイズ
「妹か。ひどい事するな」


幸平がポツリと呟く。


桜ちゃんが泣きじゃくりながら光男のことを「お兄ちゃん! お兄ちゃん!」と、何度も呼ぶ。


その姿は痛々しく、胸が締め付けられた。


よく見ると、目元が光男とよく似ているかもしれない。


でもそんな桜ちゃんを助けることは今のあたしにはできない。


ただ、クイズに正解することを祈ることしかできないのだ。


歯がゆさを感じて奥歯をギリッと噛みしめた。


「桜、お前どうしてここに来た?」


光男ができるだけ優しい口調でそう聞いた。


「わかんないよ。いきなり知らない人が家に来て、頭から袋を被せられたの。お兄ちゃん助けて!!」


相当心細かったのだろう、桜ちゃんはずっと光男の方を見ている。


「このクソったれが!!」


光男が叫ぶ。
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