ファイヤークイズ
あたしは答えることができなかった。


「答えなくても、回答は出るんだぞ」


幸平の声に、ビクリと体を震わせた。


「どんな現実でも、この場でさらされるんだぞ」


幸平はなにかを悟っているように言った。


「あたしは……何も……」


「それでいいのかよ」


そう言ったのは光男だった。


険しい目でこちらを睨み付けている。


「お前が答えなかったら、幸平の親父が焼け死ぬんだぞ!!」


光男の言葉に、テーブルに拘束されている洋一さんが目を見開いて震えた。


そう、あたしはこの人を知っている。


知り過ぎるほどに……。


「……お金を、貰ってた」


か細い声でそう答えた。
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