ファイヤークイズ
白いスマホはあっという間に黒く焦げ、やがてドロドロに溶けはじめた。


液晶画面は熱のせいでひび割れ、その姿を変形させていく。


「理恵、大丈夫?」


そう声をかけると、理恵は小刻みにうなづいた。


あのスマホは一体誰のものだったんだろう?


気になったけれど、理恵がそこまでして隠したいのだから無理に聞く事はできなかった。


⦅堤谷理恵さんは残念ながらクイズに正解できませんでした! でも、落ち込む必要はありません! クイズはまだまだこれからです!⦆


スピーカーの声はこんなときでも陽気で元気いっぱいだ。


こっちの気持ちなんて1つも考慮していない。


もちろん、相手からすればそんなもの気にする必要もなさそうだけど。
< 40 / 154 >

この作品をシェア

pagetop