ファイヤークイズ
不快感が胸の中に広がっていき、あたしは大きく深呼吸をした。


相手はあたしたちを怖がらせ怒らせ、仲たがいさせることが目的かもしれないのだ。


なぜなら、今視聴している人たちがいるとすれば、そっちの方が面白くなるからだ。


視聴者を喜ばせるために、相手はどんな不快なことでもしてくるだろう。


だったらこっちは決して動揺せず、惑わされないことが肝心だった。


「これで1つハッキリしたことがあるな」


スピーカーの声が途切れたと同時に幸平がそう言った。


なにか確信めいた声色だ。


「ハッキリしたのこと?」


あたしは聞き返す。


「俺の解答用紙も、澪のぬいぐるみも、理恵のスマホも、全部家にあったものだろ?」


そう聞かれて、あたしは頷いた。


いくら大切なものでもぬいぐるみを学校に置いておくことはない。


「相手は俺たちの家に出入りできる人間ってことだ」
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