ファイヤークイズ
理恵が静かな声でそう言った。


その声が絶望で打ちひしがれているように聞こえて、あたしは返事ができなくなってしまった。


理恵がゆっくりとこちらへ視線を向ける。


その目の中には炎しか映っていなかった。


「こんな拘束された中で炎に包まれた中で! なにを解決するっていうの!!」


スマホを燃やされたショックからか、理恵は途端に目を見開き怒鳴っていた。


その豹変ぶりに一瞬たじろぎ、理恵から視線を逸らせてしまった。


理恵の言う通りかもしれない。


犯人像がわかったところで、あたしたちは拘束されているのだからなにもできない。


だけど、可能性を自分から捨てることもできなかった。


もしかしたら、話し合いで解決できるかもしれない。


そうなれば、拘束されたままでもなんとかなる。


そんな淡い期待をほんの少しだけ胸の奥に感じていた。
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