ファイヤークイズ
⦅では、どんどん行きましょう! 次の回答者は石室澪さん!⦆


その言葉にあたしはビクリと体を震わせた。


何度名前を呼ばれても、慣れない。


あたしは一度目を閉じ、そしてゆっくりと深呼吸をしながら目を開けた。


炎の熱のせいで呼吸困難になりそうだ。


いつも通りステージ中央が開き、子犬に変わってあたしの大切なものがせり上がって来る。


しかしそれを見た瞬間、誰もが絶句していた。


驚き過ぎて声が出ない。


「な……んで……?」


完全にテーブルが上がって来てから、あたしはようやくそう言った。


テーブルの上に置かれているのは……いや、座っているのは彼氏の高坂良英(カタラ ヨシヒデ)だったのだから。
< 75 / 154 >

この作品をシェア

pagetop