ファイヤークイズ
「春香はなにか言ってなかった? 誰かに会って来たとか、そういうこと」


そう聞くと、良英は左右に首を振った。


「『遅れるなんて珍しいな』って言ったら『部屋で友達と話してて、時間を忘れちゃった』って言ってた。誰かと会ってたとか、そんなのは聞いてないな」


「そうなんだ……」


あたしは眉間にシワを寄せて考え込んだ。


春香の言葉が嘘でなければ、答えは良英で合っている?


だけど嘘をついていたとすれば、回答が間違っていることになる。


あたしはステージ上の良英に視線を向けた。


良英は熱さに顔を歪め、少しで炎から遠ざかろうとしている。


あたしが失敗すれば良英は死ぬ……。


そのプレッシャーから、頭が思うように働かなくなって来た。


ここままじゃ回答時間を過ぎてしまう!
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