ファイヤークイズ
「早く答えろよ!」


そう言ったのは光男だった。


視線を向けると、光男は口で呼吸を繰り返している。


熱さの我慢の限界なのかもしれない。


そろそろ汗が出なくなってきてもおかしくない。


直接炎に燃やされることがなくても、命の危険はすぐそばにある。


あたしは意を決して口を開いた。


「答えは良英」


それ以外に考えられなかった。


春香が嘘をついていなければ……。


⦅回答が出ました! ……残念! 不正解です!⦆


スピーカーから聞こえて来た声に、場が氷ついた。


良英も唖然とした表情を浮かべている。


続いて『運命』が奇妙な不調和音となって体育館中に流れていく。
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