ファイヤークイズ
「澪……頑張れ! 頑張ってくれ!」


泣き声の良英が声をかけて来て、視線を向けた。


良英がすぐ目の前にいる。


触れられる場所にいる。


そう思うと俄然力が湧いてきた。


死なせない。


絶対に死なせないから。


テーブルへ視線を向けると、アナウンスにあったように鍵が置かれていた。


銀色のソレは炎を映し出し、メラメラと赤く揺らめいている。


どうにか鍵を手にした途端、春香の笑顔が浮かんできた。


良英と並んで歩いている春香の姿だ。


そんなところ見たことがないのに、やけに鮮明に脳裏に見えた。


「なにしてるんだよ澪、早く!!」


ボーっと突っ立ってしまったあたしへ向けて良英が叫ぶ。


「わかってるよ!」


あたしはそう返事をして、悪い想像をかき消した。
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