ファイヤークイズ
2人が付き合っていたのは過去のことだ。


二股をかけられたり、浮気をされたわけじゃない。


そう思い直して鍵を手錠の鍵穴に差し込んだ。


回してみるとカチッという小さな音と、確かな手ごたえがあった。


「あぁ……助かった!」


手錠が外れた良英が大きく声を漏らし、その場にズルズルと座り込む。


⦅おめでとうございます! 救出成功です!⦆


アナウンスの声が聞こえた後、通路の炎が消えて行った。


その様子に安堵し、自分の体を見下ろした。


綺麗だった制服はススで黒く汚れ、あちこちに穴が開いている。


もう少し時間がかかっていたら、あたしも良英も、どうなっていたかわからない。


そう実感した瞬間背筋に寒気が走った。
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