ファイヤークイズ
「良英」


座り込んでいる手を伸ばすと、良英が抱きしめて来た。


触れられるとあちこちが痛かったが、それも気にならないくらいの嬉しさが込み上げて来る。


よかった。


あたしたち生きてるんだ!


ジワリと涙が浮かんできたが、それはすぐに蒸発して消えて行ってしまった。


少しも肌を濡らしてくれることはない水分は無情だった。


「ごめん。ごめんな澪。こんな……」


そう言ってあたしの髪を撫でる良英。


きっとチリチリに焦げて大変なことになっているんだろう。


「大丈夫だよ。良英は助かったんだから」


そう言うと、良英があたしの耳元に口を寄せて来た。


「なぁ、ここから一緒に逃げよう」
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