ファイヤークイズ
脱出したい気持ちはあるけれど、あまりにも危険だ。


せっかくミッションをクリアして2人とも助かることができたのに、無意味になってしまうかもしれない。


せめて、良英だけでも生きて帰って欲しかった。


「ダメ。相手は良英にはもう用がないはずだよ。1人で戻って」


「そんなこと言うなよ」


良英があたしを繋ぎとめようとして、手をきつく握りしめて来た。


もう、それだけで十分だった。


カラカラに乾いていても、まだ涙が出るほど嬉しかったから。


「そろそろ離れた方がいい」


せっかく救出に成功したのに、こんなことをしていたらどうなるかわからない。


もしかしたら、理恵のスマホのように炎が上がるかもしれない。


「澪……」


「あたしは大丈夫だから」
< 97 / 154 >

この作品をシェア

pagetop