ファイヤークイズ
☆☆☆

「なんで逃げなかったんだよ」


再び拘束された時、光男がそう声をかけてきた。


「そんなことしても、きっと無駄。これだけのものが作れるんだから、大きな力が動いてるに決まってるし」


あたしはそう返事をした。


「そうだよね。抵抗したら澪も良英も死んでたかも」


理恵が頷いて言う。


しかし光男は納得できなかったようで、舌打ちをしてそっぽを向いてしまった。


そんなに言うなら自分のターンで試に逃げてみればいいのだ。


「澪のおかげで助け方もわかったし、良かったよ」


そう言ったのは幸平だった。


「そうだね。とにかく全力でかけぬけること。それだけ」


頭の中は真っ白で、ほとんどなにも考える事はできなかった。


今もまだ体中が痛いけれど、助ける事を選択して良かったと感じている。
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