私の中にキミがいる限り
☆☆☆

放課後になるとあたしはすぐに教室を出た。


外の空気が吸いたかった。


重苦しい教室内にとどまっていることなんてできなかった。


早足に廊下を進んでいると、前方に透の後ろ姿が見えてあたしは思わず歩調を緩めた。


透はあたしより先に教室を出ていたようだ。


よりによって、一番会いたくない相手に会ってしまうなんて……。


逆側の階段を使えばよかったと後悔しながら、透の後ろを追いかける形で歩いて行くことになってしまった。


後ろから生徒たちの笑い声が聞こえて来るたびに身構えてしまう。


こんなビクビクしている自分なんて、大嫌いだ。


そう思った時だった、保健室の前に差し掛かった時透が立ち止まったのだ。


あたしは咄嗟に柱の陰に身をひそめてしまった。


別に逃げる必要なんてないのに、透と鉢合わせをするのが気まずい。


保健室に何の用事だろうか?


そう思っていると、しばらくすると透と明人君が2人で保健室から出て来たのだ。
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