私の中にキミがいる限り
あたしはそっと明人君に近づいた。


「おはよう、富田さん」


教科書から顔を上げた明人君がそう言った。


「お、おはよう」


ぎこちなく挨拶をして、開いている椅子に座った。


「なに? 今日は富田さんも保健室登校?」


驚いた顔でそう聞かれたので、あたしは曖昧な笑顔で頷いた。


「まぁね……。田村先生と何を話してたの?」


「教室にはいつになったら戻れそうかって聞かれた」


「そっか……」


やっぱりそうなんだ。


担任教師としては気になっても当然なことだろう。


「でも、まだ犯人がわからないんだ」


「えっ?」


明人君の言葉にあたしはそう聞き返した。


「俺をイジメていた犯人だよ。富田さんもそうだろ?」


そう聞かれて「あ、うん……」と、頷く。
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