私の中にキミがいる限り
それなのに……。


「土下座してよ」


廊下へ出たところで久美と清香に掴まってしまった。


あたしは唖然として2人を見る。


土下座なんて、本気で思っているんだろうか?


廊下を行き来する生徒たちが不思議そうな視線を向けて来る。


あたしは何も言えずにその場に立ち尽くしていた。


「ちゃんと謝ってもらわないと、あたしも美紗を許す事ができないでしょ?」


久美はもっともらしい事を言う。


だけど、悪口を書いたのはあたしじゃない。


「あたしはあんなこと書かない……」


とても小さな声でどうにかそう言った。


けれど、それは久美に反抗しているとみなされてしまった。


「美紗の作ったホームページにあたしの悪口が書いてあるのに、一体誰が書いたっていうの!?」


「いい加減諦めて謝れば? 美紗の性格の悪さはもうクラス全員が知ってるけど、それでも久美は美紗と仲良くしようとしてるんだよ?」
< 130 / 216 >

この作品をシェア

pagetop