私の中にキミがいる限り
清香が呆れたような口調で言う。


それが悔しくて目の奥がジンッと熱くなった。


ここで泣くわけにはいかない。


グッと涙を押し込めて久美を見た。


「それでも、あたしじゃない」


「いい加減にしろよ!」


久美が怒鳴るようにそう言い、あたしの肩を押した。


途端に体のバランスが崩れて廊下に尻餅をついてしまう。


清香がクスクスと笑った。


痛みで顔をしかめながらも、あたしは久美を見上げた。


「あたしは違う」
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