私の中にキミがいる限り
特定
久しぶりのカラオケでストレスを発散させた2日後は創立記念日で休みだった。


だけど課題は出ている。


あたしは机に向かって教科書を広げ、唸り声を上げていた。


普段から成績がいい方じゃなかったあたしだ。


最近は勉強所でもなくなっていたから、すっかり授業に追いつけなくなってしまっていた。


明人君は保健室でもちゃんと授業をしてきているから、送れも取っていない。


そう思うと焦る気持ちが出てきていた。


いざとなればちゃんと授業に参加している楓に教えてもらうつもりだった。


その時だった。


スマホが鳴りはじめて確認してみると、その楓からの着信だったのだ。


なんていいタイミング!


そう思い、期待を込めて電話に出た。


「もしもし、楓!?」


助けを求めるつもりで電話に出たのだが、あたしはすぐに表情を変えた。


『犯人の目星がついたらしい』


その言葉にあたしの頭は一瞬真っ白になっていた。


犯人の目星。


それはサイトの乗っ取り犯が誰だかわかったという電話だったのだ。
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