私の中にキミがいる限り
本当に悔しそうな顔をしている久美にとまどってしまう。


「あたしもごめんね。美紗はあたしたちの友達だったのに、イジメみたいなことして……」


清香がそう言い、また頭を下げた。


田村先生がしていたことは、もうみんなに伝わっていたようだ。


「そんな……」


どう返事をしていいかわからず、焦ってしまう。


そんな中、久美は明人君の席へと視線を向けた。


「明人も、ごめん」


そう言い、謝っている。


それにつられるようにしてクラスメートたちが席を立ち、あたしと明人君に謝罪していく。


あたしと明人君は顔を見合せ、そしてほほ笑んだ。


あんなに不安だった教室登校がこんな風になるなんて思ってもいなかった。


「よかったね」


楓にそっと言われて、あたしは大きく頷いたのだった。
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