私の中にキミがいる限り
柊明人(ヒイラギ アキト)君だ。


同じ2年B組の生徒だけれど、進級と同時に不登校になっていた生徒だ。


うちの学校は3年生まで持ち上がりのクラスだから、1度イジメが始まると粘着に続く。


明人君は1年生の頃からイジメのターゲットにされていた。


「富田さん?」


明人君があたしを見てニコッとほほ笑んだ。


色白で背が低くて、女の子みたいに可愛らしい見た目の明人君。


だからこそ、イジメられるようになってしまったのだけれど。


あたしは明人君に軽く会釈をした。


なにを言えばいいか、言葉が思いつかない。


てっきり学校には来ていないと思っていたから、こんなところでバッタリ会うなんて予想外だ。


「なに? 2人は知り合い?」


先生があたしと明人君を交互に見てそう言った。


「クラスメートです」


少し言いづらかったけれど、あたしはそう説明した。
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