私の中にキミがいる限り
一緒に歩いていると、スラスラと会話が続く。


昨日久しぶりに会ったばかりなのに、明人君と一緒にいると心が安心できた。


明人君とあたしの境遇が似ているからかもしれない。


それからあたしたちは他愛のない会話をして、分かれ道で別れた。


家への道を真っ直ぐ歩いていると、お母さんが歩いてくるのが見えた。


「美紗!」


あたしを見つけて歩調を早めるお母さん。


「お母さん、どうしたの?」


「どうしたのって、早退するって聞いたから迎えに行こうと思ってたのよ」


お母さんはそう言い、心配そうにあたしを見る。


そうやってジロジロ見られると途端に居心地が悪くなり、あたしは視線を逸らせた。


「ごめん、もうだいぶ平気になったから」
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