私の中にキミがいる限り
誰が、いつの間に?


今トイレに立った時だろうか?


それとも、もっと前に?


今日は午前中に体育の授業があったから、そのタイミングで誰から鞄に入れたのかもしれない。


心臓がドクドクと高鳴り、周囲の音が遮断されたように静かだった。


これを見られたら、あたしが犯人扱いされることは確実だった。


相手はそれを望んでいるのかもしれない。


あたしは大きく息を吸い込んだ。


できるだけ冷静に、なんでもないようにしていないといけない。


犯人は動揺するあたしを見て笑っているに違いない。


あたしは教室の中を注意深く伺った。


特に変哲のない教室内。


いつもの友人たちはあたしが来るのを待ってくれている。


この中に犯人がいるなんて思えなかった。
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