キミガ ウソヲ ツイタ
入社して半年も経つ頃には、先輩たちもそんな二人を認めざるを得なかったようで、いやみのひとつも言えなくなり、誰もが葉月と佐野に一目置くようになった。

その頃には俺は葉月のことが気になってどうしようもなくなっていた。

仕事中にも葉月と少しでも多く話せるように必死で仕事をして、仕事の後は佐野や他の部署にいる同期も誘って頻繁に食事や飲み会をした。

葉月が毎回参加するわけではなかったけれど、参加しているときはできるだけ近くの席に座り、積極的に話しかけた。

だけどいつも帰りの電車で二人になると、葉月は口数が少なくなり、あまり目を合わせようとしないことに気付いた。

俺、嫌われてる……?

嫌われているとまではいかなくても、葉月は俺のことが苦手なのかも……。

そんな不安が何度もよぎったけれど、俺は葉月に嫌われるようなことをした覚えはないし、むしろ特別優しくしてきたはずだ。

なのになぜか葉月は、いつまで経っても俺に心を開いてくれないような気がした。

そしてこのままではいけないと行動を起こしたのが、入社2年目の夏。

葉月は整った容姿と巧みな話術で異様にモテる。

『今のところ特別な関係の男はいない』ということはリサーチ済みだったから、葉月がフリーでいる今のうちにと、ただの同期からの脱却を試みた。

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