キミガ ウソヲ ツイタ
「じゃあお昼の方がいいかな。そこで昼飯食べて、腹ごなしにブラブラしよう」

「そうしよか。楽しみやわぁ」

俺の予定とはずいぶん違ったけど、葉月が楽しんでくれるのであればなんでもいい。

それにうまくいけば“また別のデカ盛りにも挑戦しよう”なんて言って次の約束ができるかも知れないから、これはこれで良しと思うことにした。


二人で電車に乗っているときに、もし葉月がこのことを誰かに話すと、俺の嘘がバレてしまうかも知れないということに気付いた。

そうなると二人で会えなくなるだけじゃなく、嘘つきな男だと葉月に嫌われてしまう可能性もある。

なんとかして口止めしておかなければ。

「そうだ……。二人でその店に行くこと、みんなには内緒な?」

「なんで?大勢に祝ってもらえた方が嬉しいんちゃうの?」

葉月は不思議そうに首をかしげた。

もし他の同僚が一緒に来てしまったら、俺の計画が台無しになることはおろか、俺の気持ちまでみんなに知られて、葉月に敬遠されかねない。

「いや、俺は木村と二人で行きたいから」

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