キミガ ウソヲ ツイタ
その日も佐野は俺と葉月の倍以上は飲んでいたのに、顔色ひとつ変えることなく店を出た。
居酒屋から3人で駅までのんびり歩き、駅の改札を通り抜けて別の路線に乗る佐野と別れ、葉月と二人で同じ電車に乗った。
平日の夜なのに電車は思ったより混んでいたので、俺と葉月は座席には座れずドアのそばに並んで立ち、電車が発車するまで無言で窓の外を眺めていた。
そのときの俺の頭の中は、話をいつ切り出そうかということでいっぱいだった。
電車の中でそんな話をしたら恥ずかしいかな。
もしかしたら葉月に嫌がられるかも知れない。
だけどこのチャンスを逃したら、次はいつになるかわからない。
いきなり好きだと言ってフラれたら葉月が電車を降りるまでずっと気まずくなるだろうから、葉月の降りる駅の少し手前で切り出そうかな。
そんなことを考えていると、発車のベルが鳴った。
電車が走り出すと少し酔いが回り始めたのか、葉月はドアに頭をくっ付けて、体を支えるようにしてもたれた。
「大丈夫か?もしかして気分悪い?」
俺が尋ねると、葉月は小さく首を横に振った。
「大丈夫……。伊藤くん、じつは私な……今日、誕生日やねん」
居酒屋から3人で駅までのんびり歩き、駅の改札を通り抜けて別の路線に乗る佐野と別れ、葉月と二人で同じ電車に乗った。
平日の夜なのに電車は思ったより混んでいたので、俺と葉月は座席には座れずドアのそばに並んで立ち、電車が発車するまで無言で窓の外を眺めていた。
そのときの俺の頭の中は、話をいつ切り出そうかということでいっぱいだった。
電車の中でそんな話をしたら恥ずかしいかな。
もしかしたら葉月に嫌がられるかも知れない。
だけどこのチャンスを逃したら、次はいつになるかわからない。
いきなり好きだと言ってフラれたら葉月が電車を降りるまでずっと気まずくなるだろうから、葉月の降りる駅の少し手前で切り出そうかな。
そんなことを考えていると、発車のベルが鳴った。
電車が走り出すと少し酔いが回り始めたのか、葉月はドアに頭をくっ付けて、体を支えるようにしてもたれた。
「大丈夫か?もしかして気分悪い?」
俺が尋ねると、葉月は小さく首を横に振った。
「大丈夫……。伊藤くん、じつは私な……今日、誕生日やねん」