キミガ ウソヲ ツイタ
告白するなら今しかない。

その答えを導きだした俺は、思いきって葉月の手を握った。

葉月は驚いて顔を上げ、頬を赤く染めて俺の顔と握られた手を交互に見ている。

「俺ももっと仲良くなりたい」

「えっ……」

「正直に言う。俺は木村と仲良くなりたくて誘った。入社してちょっと経った頃から、ずっと木村のことが好きだから。良かったら俺と付き合ってください」

「ええっ……?!」

俺が告白すると葉月は絶句して、俺が握っている方とは反対の手で口を押さえたまま固まってしまった。

“そんなつもりじゃなかったんやけど……”とか、“私はあんたのこと、そこまで好きとちゃうわ!”とか、言われるのかな?

そんな考えが頭をよぎったけれど、玉砕覚悟で告白すると決めたんだから、好きでも嫌いでもハッキリ返事をしてもらおうと思い、固まったまま微動だにしない葉月の顔を覗き込んだ。

「木村……?俺の言ったこと、ちゃんと聞いてた?」

「聞いてた……」

「だったら……返事、してくれる?」

どちらに転ぶかわからないこの緊迫した状況を早く終わらせたくて、返事を急かした。

葉月はしばらく黙ったままうつむいていたけれど、少しだけ顔を上げて俺の顔を見るとまた目をそらし、おもむろにうなずいた。

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