キミガ ウソヲ ツイタ
しっかりと抱きしめたままそう言うと、葉月は俺の腕の中で小さくうなずいた。

「……はい」

葉月の返事があまりにも嬉しくて思わず雄叫びをあげそうになったけれど、夜も遅いのでその衝動をグッとこらえ、葉月の顔を両手でグイッと持ち上げて唇にキスをした。

すると葉月は驚き慌てふためいて、俺の体を思いきり押し返した。

「いっ、いきなり何するん!」

「いや……あまりにも嬉しくて、つい……。それに葉月、めちゃくちゃ可愛いし……」

「恥ずかしいから、そういうのは人目につかんとこでして!」

葉月はそう言うけれど、周りには誰もいないし、誰にも見られていない。

「誰も見てないけど?」

「誰も見てなくても外ではアカンの!」

葉月はそう言って俺の手を振り払い、両手で顔を覆った。

本当に恥ずかしがり屋なんだな。

会社での毅然とした姿からは想像もできないほどのかわいさに、俺の独占欲が煽られた。

葉月のこんな可愛い顔、他の男には絶対見せたくない。

もっともっと、葉月の恥ずかしがる可愛い顔が見たい。

俺は葉月を抱き寄せて、耳元に唇を近付けた。

「じゃあ……外じゃないところで二人きりならいいの?」

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