キミガ ウソヲ ツイタ
あわよくばこのまま朝まで二人きりになれる場所で、俺に見つめられたり触れられたりして恥じらう葉月を堪能したいと思ったけれど、現実はそんなに甘くはなかった。
葉月は両手で俺の顔を押さえて引き離し、思いっきり頬をつまんで引っ張った。
「……もう!なんでそんな恥ずかしくなることばっかり言うん!調子に乗んなアホ!」
「……はい、すんません……」
つい調子に乗って手痛いダメ出しをされてしまったけれど、この日から俺と葉月は付き合い始めた。
それから6日後の4月9日。
その日が俺の本当の誕生日だとは言い出せないまま、仕事の後に二人で食事をして葉月を家まで送り届けると、マンションの前で葉月は立ち止まり、鞄から綺麗にラッピングされた薄い長方形の箱を取り出して俺に差し出した。
「伊藤くん、誕生日おめでとう」
なんの前触れもなく葉月がそう言ったので驚いて葉月の顔を見ると、葉月はおかしそうに笑った。
「えっ?俺の誕生日知ってたの?」
「当たり前やんか。私、伊藤くんの担当事務員やで?だから伊藤くんが8月生まれやって言うたとき、嘘やって気付いてたんよ。でも私もホンマは誕生日やなかったし黙っとった。あのとき誕生日のお祝いらしいことせんかったんは、お祝いはホンマの誕生日にしたいなと思てたからやねん」
葉月は両手で俺の顔を押さえて引き離し、思いっきり頬をつまんで引っ張った。
「……もう!なんでそんな恥ずかしくなることばっかり言うん!調子に乗んなアホ!」
「……はい、すんません……」
つい調子に乗って手痛いダメ出しをされてしまったけれど、この日から俺と葉月は付き合い始めた。
それから6日後の4月9日。
その日が俺の本当の誕生日だとは言い出せないまま、仕事の後に二人で食事をして葉月を家まで送り届けると、マンションの前で葉月は立ち止まり、鞄から綺麗にラッピングされた薄い長方形の箱を取り出して俺に差し出した。
「伊藤くん、誕生日おめでとう」
なんの前触れもなく葉月がそう言ったので驚いて葉月の顔を見ると、葉月はおかしそうに笑った。
「えっ?俺の誕生日知ってたの?」
「当たり前やんか。私、伊藤くんの担当事務員やで?だから伊藤くんが8月生まれやって言うたとき、嘘やって気付いてたんよ。でも私もホンマは誕生日やなかったし黙っとった。あのとき誕生日のお祝いらしいことせんかったんは、お祝いはホンマの誕生日にしたいなと思てたからやねん」