キミガ ウソヲ ツイタ
君じゃなきゃダメなんだ
付き合うことになったとき、同僚から冷やかされたり上司に目をつけられて異動になったりするのは困るから、俺たちが付き合っていることは会社では秘密にしようと葉月が言った。

俺としては葉月に悪い虫がつかないようにオープンにしたかったけれど、どちらかが異動になって離れてしまうのは避けたかったので、秘密にすることに同意した。

それは同じ部署で働けるというメリットもあったけれど、お互いにアプローチしてくる異性に無駄な嫉妬をしてケンカになってしまうという大きなデメリットもあった。

葉月は俺が思っていたよりずっとヤキモチ焼きで、美人で頭もいいのに恋愛に関しては自分に自信がなくて、俺がそのうち別の人を好きになるんじゃないかといつも不安がっていたように思う。

恋人が自分以外の人へ向ける優しさが単なる人としての優しさなのか、もしかしたら恋愛感情があるのではないかと疑う気持ちが以前の俺にはさっぱりわからず、ただ疑われることがつらかったけれど、葉月に出会って初めて本気で人を好きになって、過去に付き合ってきた女の子たちが不安になっていた理由がわかった気がした。

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