キミガ ウソヲ ツイタ
叶わなかった願い
翌日はいつもの休日より少し早めの9時頃に起きて朝食と身支度を済ませ、車で出掛けた。

夕方の新幹線で大阪に帰る葉月の両親と妹をホテルまで迎えに行き、観光名所を少し案内して、昼食を食べたあとはお土産選びに付き合ったりもした。

葉月の家族はとても愉快でおおらかで、俺の知らなかった“あたたかい家庭”という感じだ。

一緒に過ごすのはとても楽しくて、あっという間に時間が過ぎて夕方になり駅まで送る。

葉月の両親と妹は、『志岐くん、葉月をよろしくな。盆休みは大阪においで。楽しみに待ってるで』と言い残して新幹線で帰っていった。

「葉月の家族はホントに面白いなぁ」

「そうか?めっちゃ普通やと思うで」

「あれで普通なんだ。大阪ってすげえな」

そんな会話をしながらしばらく街を歩き、レストランで早めの夕食を済ませて帰宅した。

風呂上がりにソファーに座ってビールを飲もうとしたとき、昨日届いていた手紙を未開封のままテーブルの上に置きっぱなしにしていたことに気付いて手に取る。

昨日も思ったけど、差出人の名前にはやはり心当たりがない。

そして結構な厚みがあるが、一体何が書いてあるんだろう?

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