キミガ ウソヲ ツイタ
手紙を手に取って差し出すと、葉月はそれを受け取って俺の方をチラッと見た。
「読んでええの?」
「うん、読んで。葉月にも知っておいて欲しいから」
葉月は黙って手紙を読んだ。
そして読み終えると、手紙をテーブルの上に置いて俺の手を握った。
「私らが結婚したちょっとあとに亡くなりはったんやな……」
「そうらしいな」
「志岐の誕生日、私も一緒にお墓参りに行ってええかな?」
「もちろん。葉月のこと俺の奥さんだって……俺の世界一大事な人だよって、ちゃんと紹介しないと」
そう言って手を握り返すと、葉月は目元を潤ませてうなずき、俺の体を包み込むように優しく抱きしめた。
俺は葉月の腕の中で、幼い頃に抱きしめて頭を撫でてくれた母の手のあたたかさを微かに思い出した。
お嬢様育ちで世間知らずだった母は、家事も育児もろくにできず人としてはとても未熟で、父との結婚では幸せにはなれなかった。
それなのに、父との間に生まれた俺のことを母親としてずっと愛してくれていた。
父と別れ北村さんと一緒になってからの母の人生は幸せだったのだと思いたい。
そうであれば、突然母を失ったあの頃の俺の寂しさも報われる。
そんな気がした。
「読んでええの?」
「うん、読んで。葉月にも知っておいて欲しいから」
葉月は黙って手紙を読んだ。
そして読み終えると、手紙をテーブルの上に置いて俺の手を握った。
「私らが結婚したちょっとあとに亡くなりはったんやな……」
「そうらしいな」
「志岐の誕生日、私も一緒にお墓参りに行ってええかな?」
「もちろん。葉月のこと俺の奥さんだって……俺の世界一大事な人だよって、ちゃんと紹介しないと」
そう言って手を握り返すと、葉月は目元を潤ませてうなずき、俺の体を包み込むように優しく抱きしめた。
俺は葉月の腕の中で、幼い頃に抱きしめて頭を撫でてくれた母の手のあたたかさを微かに思い出した。
お嬢様育ちで世間知らずだった母は、家事も育児もろくにできず人としてはとても未熟で、父との結婚では幸せにはなれなかった。
それなのに、父との間に生まれた俺のことを母親としてずっと愛してくれていた。
父と別れ北村さんと一緒になってからの母の人生は幸せだったのだと思いたい。
そうであれば、突然母を失ったあの頃の俺の寂しさも報われる。
そんな気がした。