模擬彼氏
次の日。

私は新田先生の前で、泣きじゃくった。


「いやいやいや!紗雪は、先生とずっと一緒にいるの~!!」

「えっ?紗雪ちゃん?一体何があったの?」

朝から抱き着かれ、泣きまくる私に、新田先生はただ困るばかり。


「先生は、王子様なの?」

「えっ!?」

ひきつった笑顔で、新田先生は必死に、答えを探していた。

「いや……どちらかと言うと、庶民かも?」


その一言で、私は先生を諦める決心をした。

だって、庶民の人と結婚したら、大好きなオモチャも、大好きなお菓子も、大好きなドレスも買って貰えないもん。


「いいんだ。大人になったら、王子様が紗雪を迎えに来てくれるもん。」

今思えば、両親の洗脳はここで完成した。
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