模擬彼氏
あれから14年の月日が流れ……

私は大学生になった。


「紗雪さん!」

「佳南さん。」

フワフワの風をそよがせながら、お友達の佳南さんが、駆け寄ってきた。

「佳南さん、お久しぶりですね。」

「ええ。先週までずっと、別宅に行ってましたの。」

佳南さんのお家は、平安時代から続く由緒正しいお家柄のようで、京都や大阪にも、お家があるそう。

私の家は、東京に一つしかないから、全く身分が違う。


「そう言えば、お聞きになりました?真千佳さんの事。」

突然佳南さんが、思い出したように、手を叩いた。

「真千佳さんが、どうかなさって?」

真千佳さんとは、同じ大学に通う同級生の事。
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