もののけ会社と甘いキス。

「結界?それって
私の使う力みたいなものですか?」

不思議に思っていたら

「それとは、ちょっと違うわね。
月ノ宮一族の結界は、かなり強力だけど
この結界は、弱くただ人間にだけ
かかる仕組みになっているわ。
だから他の人間には、見えないし聞こえない」

雪江さんが詳しく教えてくれた。

そうなの……?

「実にくだらんな。
これぐらいの結界なら名のある妖怪なら
すぐに気づき破れる。あいつらも
俺を怒らすだけだと気づかないのか」

社長は、自分のデスクに座りながら
ブツブツと文句を言っていた。

未だに不機嫌だ。

やはり私が拒んだことが
気に入らないのだろうか?

「フフッ……大丈夫よ。
ただ私には、甘えてくれるのに自分には、
甘えてくれないから拗ねてるのよ!」

クスクスと笑いながら雪江さんが
そう言って教えてくれた。

< 112 / 351 >

この作品をシェア

pagetop