もののけ会社と甘いキス。
「何で、そばに居てあげなかったのだろう。
周りを説得し続けても
嫌われようが
主人と共に生きてあげられたのではないか。
どうして一人ぼっちにしてしまったのだろう。
そう思うと悔しくて
あなたには、こんな風に
後悔をしてほしくないのよ!
妖怪と人間……確かに共存するには、
難しいかも知れないけど
あなたや私みたいな者が居るってことを
忘れないであげて」
雪江さんは、そう切なそうに話してくれた。
私は、雪江さんの話を聞いて
胸が締め付けられそうになった。
雪江さんの過去に
そんなことがあったなんて……。
「でもそれは、一般の人間と妖怪の話だろ!?
響は、本来。月ノ宮一族の正統な後継者だ。
立場が違う」
納得のいかない美音は、言い返した。
「確かに……響ちゃんは、
月ノ宮一族の子孫だけど気持ちは、一緒のはずよ。
あの子……社長を嫌いになったのなら仕方がないけど
妖怪だからとか、そんな理由で
距離を置かないでほしいの。
あの子は、誰よりも思いやりのある優しい子。
でも、とても意地っ張りで臆病者なのよ」
「母のように大切な人を失うのを恐れて
距離を取れないでいるわ。
本当は、あなたのことを大切に想っているはずよ!
自分に後悔をするような生き方をしないで。
ちゃんと彼を見てあげて」
雪江さんの言葉に私は、心が揺らいだ。