もののけ会社と甘いキス。

ううん。そんなの……分かっている。
旦那さんは、自分の気持ちに正直なんだ。

私と違って……。
私は、自分の気持ちに嘘をついている。

本当は、好きなのに……。

「妖怪とか関係なく……社長のことが好きなんです。
本当は、離れたくない」

涙を流しながら正直に気持ちを告げた。
もう隠しきれない。

「響……」

ごめんなさい……。

美音。皆……。

「そう。あなたの気持ちは、よく分かったわ。
もう出て来てもいいですよ。社長」

すると雪江さんは、クスッと微笑みながら
そう言ってきた。

えっ……?

驚く私に対して雪江さんは、
大きめのカバンを目の前に置いた。

そうしたら大きめのカバンの中から、ひょっこりと
顔を出したのは、小さな子ギツネだった。

き、キツネ!?

私は、それ見てさらに驚いてしまった。

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