もののけ会社と甘いキス。
「やぁ、まさかこんなところで
また会うなんて……奇遇だね。
楽しく覗き見かな?」
「ち、違います。あ、いや……確かに
覗いちゃったけど。でも
わざとではないし、あなたの正体を
誰にも言いませんから」
「別に言ってくれてもいいよ。まぁ
ヴァンパイアなんて、誰も信じないだろうけど
仲間内なら、知っていることだし。
それよりも……また会えて嬉しいよ」
ニコッと笑うと私の方に近付いてきた。
か、顔が近い……。
綺麗な顔にドキドキしているのか
ただ恐怖でドキドキしているのか自分でも
分からなくなってくる。
「さすが月ノ宮一族の血縁者だね。
俺の目を見ても何も感じないなんて……」
えっ……?
もしかして私に何か催眠でもかけようとしたの?
どうやら私は、月ノ宮一族だからなのか
妖怪の催眠術には、かからないようだ。
「せっかく、怖がらないように
催眠をかけて血を提供して貰おうと思ったけど
仕方がない。
違うやり方で手に入れるとしよう」
そう言うと強引にキスをしてきた。