もののけ会社と甘いキス。

だって、目がとても悲しそうだったからだ。

心を閉じて人間の女性を 
本気にならないようにしているようにも見えた。

いや、そうだと
自分で言い聞かしているのだろう。

余計に自分が傷つかないように……。

社長の本音が見え隠れして
胸がギュッと締め付けられそうになった。

何だか放っておけない……。

「社長……寂しくないのですか?
本気になりたいとは、思わないのですか?」

そんなの悲し過ぎる。
せっかく、人間に対しての優しさがあるのに。

お母様が人間なのに……。

しかし社長は、そんな私を嘲笑った。

「本気……?何処に
本気になれる人間の女が居るんだ?
馬鹿らしい。言っただろ?
すぐに死ぬ人間に本気になる価値なんてないって」

そんな……。

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