かりそめ婚!?~俺様御曹司の溺愛が止まりません
「……やだな。沙之くんたら、冗談ばっかり」

「冗談かどうか、試せばわかるよ?」

瞼の隙間から薄っすらと覗いた瞳は、本気だった。

そんな……噓でしょう……?

沙之くんは、私のことが好きな素振りなんて、一度だって見せたことなかった。

颯志くんとの結婚を、心から祝福してくれているのだと、思っていたのに。

……なのに……。

沙之くんが私の頬に手を添えたまま伸しかかる。

ぐっと上体を逸らすけれど、ベンチのひじ掛けが背中に当たってこれ以上動けない。

待って。なんだか今日の沙之くん、おかしいよ……?

顔を背けるも拒み切れず、咄嗟にぎゅっと目を瞑った。
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